救急救命士や救急隊員にとってのPEARS
救急救命士や救急隊員の中には、「子ども」を苦手とする方が多いはず。
近年、救急需要が右肩上がりですが、小児が苦手と回答する救急隊員の方は従来から多い傾向です。
これはなぜでしょうか。
重症事案を対応する頻度が少ない
小児の救急要請の大半は、「発熱に伴う痙攣」が多いと思います。
そして、その多くが医師によって「単純型熱性痙攣」との診断を受ける事が多いため、救急救命士や救急隊員が重症の小児事案に対応するケースはあまり多くないと思います。
重症の子ども達が少しでも減ることは非常に良い事です。
しかし、小児の重症事案は決してゼロではありません。
おそらくこのブログをご覧になっている方の中には、重症事案に対応した経験がある方もいると思います。
その時の対応はいかがだったでしょうか。
頻度が少ないからこそ、普段から備えておく必要があります。
教育体制が十分ではない
救急救命士の専門学校や大学、または救急隊員養成課程において、小児救急の講義や実習はあるのはあると思います。
こちらのサイトにも書かれていましたが、その多くは講義のみであったり、実習といえども「PBLS」のみで終わらせてしまう事が多いのではないでしょうか。
ひとたび小児が心停止をきたすと、理想的な蘇生努力を施しても一般的に良好な転帰は得られない。院外で心停止が生じた小児では、生存退院率はわずか8%程度ある。
PEARSプロバイダーマニュアルより
小児に対するBLSのトレーニングは必須です。
これは完璧にマスターしておく必要があります。
さらに小児の心停止は少ないですから、やはりBLSコースで常に備えておく必要があります。
大事なのはここからです。
もし呼吸障害やショックを認識して直ちに介入したなら、呼吸停止や心停止へ進行するのを阻止できるかもしれない。
PEARSプロバイダーマニュアルより
つまり、救急救命士や救急隊員が赴いた現場で、適切なアセスメントと介入が実施できれば、小児の重篤化(最悪の場合、心停止)を阻止できる可能性があります。
しかし、非心停止における病態生理、アセスメント方法及び安定化するための処置については、これまで学ぶ機会が非常に少なかったのではないかと思います。
あくまでも主観ですが、PEARSで学ぶ内容を網羅しておく事で、小児救急事案の大半に対応できるかと思います。(他に、頻度が高い疾患等の知識が必要ですが、当会のLINE@やオリジナルセミナー等で習得できます)
またPEARSコースでは、専門領域の薬剤等を使用するケースはほぼなく、あくまでも適切なアセスメントとそれに基づく介入を行いながら専門家(医師)へ引き継ぐまでを学びますので、これこそ救急救命士や救急隊員の方には現実的な内容であると考えています。
救急隊員限定PEARSコースとは
当会は他ではあまり見かけない「救急隊員限定コース」を設けています。
もちろん中身はAHAに則ったコース内容です。
では、何が「限定」なのかと言うと、シミュレーションです。
多くのOff The Job Trainingでは、
「はい、現場に到着しました。始めてください」
このようにいきなりシミュレーションが開始する事が多いのですが、当会のPEARSコースでは受講される方の職業背景に応じた導入を取り入れています。
例えば受講される方が看護師さんの場合は、その方の部署等に応じたシナリオや状況を設定しています。
今回は救急隊員限定コースですから、もちろん現場に行く作業が必要です。
つまり「出動」です。
出動中に隊員同士で打ち合わせを行うことは非常に重要な作業ですよね。
AHAでは、インストラクターが、PEARSコースを受講者固有のニーズに合わせて調整することを許可している。例えば、状況を特定の場所に合わせてもよい。
PEARSインストラクターマニュアル
そこで救急隊員限定PEARSコースでは、出動シーンからシミュレシーションが始まります。
12月14日救急隊員限定PEARSコースでは出動するところからシミュレーションを行います。限りなく救急隊員の活動に近い環境でトレーニングすることができます。
お問い合わせも非常に多くなっておりますのでお早めにお申し込みください。https://t.co/5t0kKIHOtn pic.twitter.com/3J3rdveG1Q— Child Future 熊本 (@ChildFuturekuma) 2018年11月11日
限られた時間の中で、どれだけ状況をイメージできるかがポイントです。
さらに、想定付与も直接口頭では行いません。
大半の場合、本部から無線等を使って指令を受けるのが現実的ですから、Child Future 熊本の想定付与もトランシーバーを使用して行います。
シミュレーションで患児を評価した結果、特殊な搬送デバイスが必要だと判断されることもあるかもしれません。
もちろん、その時はいつも通り、無線(トランシーバー)を使って要請すればOK。
重要なことは、シミュレーション訓練だから特別ではなく、可能な限り現実の活動に近い環境設定でトレーニングすること。
Child Future 熊本のPEARSコースは、ここに徹底したプロバイダーコースを提供いたします。
他でほとんど開催されていない「救急隊員限定PEARSコース」をぜひご検討ください。